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​わが子を食べる!?

今回のテーマは、
『習っていない漢字を書くべきか書かぬべきか』についてです。
途中、話の“脱線”があります。お許しください。
 
 
以前、立命館小学校副校長の陰山英男氏のツイッターでの発言が話題になりました。
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最近、自分の名前であっても学校で習ってない漢字を使ってはならないと先生が指導するという。おかしい。だって名前の漢字はすべて学校で習うとは限らない。ならばいつまでも自分の名前は漢字で書けない。名前は親が指導し、学校では友達の名前を読めるように指導すべきと思う。
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習っていない漢字が名前に入っている場合は、
書いてはいけないという指導をする先生が実際にいるそうです。
私はその現場を見たことはありませんが、
「書きたいのに書いてはいけない。」
「書いたけれどひらがなに書き直し。」
そんな教師がいるのには、びっくりしてしまいます。
習っていない漢字でも書きたいという欲求があるのであれば、
どんどん書けばいいと思います。
特に海外に住んでいる子は、漢字に興味を持ってくれるだけでも嬉しいことですから、
書きたいと思うのであれば、どんどん書かせてあげてほしいと思います。
 
反対に、
「作文は全部ひらがなです。」
との悩みを持つ保護者のかたも多いですね。
作文は、漢字を使わないことに注目してしまいがちですが、
本来は文を書くことが目的です。
上手な表現があれば大いに感心してあげるといいかなと思います。
「こんな言葉、どこで覚えたの?すごいね。」
というような言葉を添えると、
これからもお母さん、お父さんをびっくりさせようと頑張りますし、
その言葉を覚えたところ(本やテレビなど)から、もっといい表現はないかなとアンテナを張ることでしょう。
(うちの子が覚えた言葉の元は、クレヨンしんちゃんからだった時は、両親で少々苦笑いでした。。いいのです!日本語のためです!海外では優秀な教育番組です!!)
漢字を使って文を書かせたいなら、
その作文を大いに褒めた上で、
「こんな良い文を書ける子が、漢字を使わないなんてもったいない!次に作文を書くときは漢字を3つ使ってみよう」
というような提案をしていき、
だんだんハードルを上げていくという手もあります。
 
さて、陰山氏の発言に対する私の意見に戻します。
本来、漢字で書くところをひらがなにしてしまうと、
『読む力が育たない』と私は思っています。
読みに関しては、先取りをすると学習の効率が上がると思いますので、
知らない漢字をどんどん読ませることには賛成です。
友達の名前の漢字が新出漢字で出て来た時には、
本人はもちろん、クラスは大盛り上がりです。
成り立ちを話したら、みんな大興奮です。
自分の知っている言葉や興味のあることには、
知りたいという欲求が必ずあります。
ぜひ親子で楽しんで探してほしいと思います。
 
最後に、
「わが子を食べる」について。
以前、3年生の漢字の丸付けをしている時の話です。
和という漢字を習った後で、
和のつく言葉を使って文を書きましょうという課題を出しました。
「和菓子」と書きたかったようです。
「和」を漢字で書くのを忘れて、
菓子の「菓」は習っていないけれど、
「子」は習っている。
だから「わが子を食べる」と書いたようです。
 
丸つけをしながら、ちょっと眠くなりそうだった目が飛び出るかと思ったのを今でも覚えています!(笑)
その子はもちろん「菓子」と読めました。
まだ習っていない字は書きたいと思うのであれば教えてあげるといいと思います。
書かないと言うのであれば、習っていないので無理に書かせることはないと思います。
ただ、言葉として、熟語として、「読める」ようになっておくと良いと個人的には思います。
 
ちなみに、二字熟語で片方の漢字を習っていない場合に、
「この字は中学で習う漢字だけど書いてみる?」とか、
「これ、大人でも書けない人が多いんだよね。書いてみる?」など
背伸びさせるような声がけをすると
「書きたい!」と言って、やる気満々になる子は多いです。
ぜひご家庭でも試してみてください。
 
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。
 

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