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こだわりを捨てるべき?
​日本語を教えるということ

今回のテーマの前に・・・
学年が上のお子さんをお持ちのかたにとっては、
今回の話は、当たり前過ぎる話かもしれませんが、どうかお付き合いください。

補習校の教師として今まで「ずっとこだわってきたこと」があります。
 
そのこだわりとは・・・
『日本語を日本語で教える』ことです。
 
補習校は、語学学校ではありません。
日本で配布されている教科書を使って学ぶのですから、
このこだわりは、間違っていないと思っています。
 
でも、そのこだわりの一部を捨てます!
という話です。
 
学年が上がると、聞いても意味が分からない言葉が増えていきます。
そんな時どうしている(いた)かを、
自分が教えた補習校のOB・OGや補習校で教えている先輩お母様方に聞いてみると、
国語辞典を使っている(いた)子よりも、
英単語(在米の子)に直して覚えている(いた)場合が多いです。
 
先日、補習校教員の先輩お母様に聞いた言葉が、自分の中で“しっくり”きましたのでご紹介します。
(お子さんはすでに巣立っています。)
 
「『家庭で普段使わない言葉』は英単語に直して教えた方が早いよ。だって、意味は現地校で習っているんだから。」
 
日本の教員免許を持っている一教師として、
分からない言葉があれば国語辞典で調べるというのは、当たり前の感覚でした。
もちろん、その先生は、なるべく日本語で教えようとされていたそうですが、
普段家庭内で使わない言葉は、英単語に訳して理解できるのであれば、そのように教えたとのこと。
 
国語辞典を使わせることへのこだわりによって、
子どもが効率的に語彙力を高める機会を奪ってしまっているかもしれません。
もしそうであれば、非常にもったいないことだなと、自分の考えを改めた一言でした。
 
海外で現地の学校に通う子は、
一日のほとんどを現地の言葉“で”学習しています。
そして、現地の言葉“を”学習しています。
この語彙力を利用しない手はありません。
双方の言葉をうまくリンクさせながら、語彙力を高めていくという感覚を
持ち得ているといいのかなと思います。
 
ただ、反対に対訳だけにこだわってしまうと、語学学校になってしまいます。
このバランスは、お子さんが普段日本語に触れる機会や、
今後の日本への帰国の可能性なども考慮して、
調整する必要はあるでしょうね。
 
「家庭内で普段使わない言葉」
 
ここでふと考えました。
『家庭内で普段使う言葉』を増やせば語彙力が伸びるってことですよね!
 
家庭内でもっと高尚な会話をしなければなりません!
 
子「こうしょうって何?」
親「程度が高いことだよ。」
子「ていどって?」
親「優劣などの度合いのことだよ。」
子「ゆうれつって?」
子「どあいって?」

親「・・・」

こんなことで我が子の日本語をあきらめてはなりません!!

面倒くさがらず、言葉の意味を教えてあげてくださいね。
 
対訳にするか、ひとつひとつ教えていくか。
どちらにしても語彙力は伸びそうですね。

 

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