教師の漢字の採点基準
​これって正解?不正解?

今回のテーマは、
「教師の漢字の採点基準 これって正解?不正解?」
ということでお話をしていきます。
 
漢字の採点基準は、先生によって違うなと感じているかたも多いと思います。
校内で採点基準を統一している学校もあるでしょうし、担当の先生に委ねている学校もあります。
ちなみに私の勤めた補習校では、学年によって配点の差はありますが、全学年が同じ採点基準で採点をおこなっていました。
 
『とめ・はね・はらい』
小学校では、とても大切に扱います。
新出漢字を教えるときも、「ここははねるんだよ。」と口が酸っぱくなるくらい言いますし、
テストの採点でも「はねてないから丸ではない」という場合がほとんどです。
この点に関して、疑問を持たないかたが大半ではないでしょうか?
 
でも、実は…
文化庁が出している「常用漢字表」という資料があります。

(PDFファイルで見ることができます)
 
この中に、漢字の「字体についての解説」があります。
簡単に言いますと「漢字の許容に関するまとめ」です。
 
これを読むと…学校の先生は驚愕します。
理由は、今までの漢字教育を“完全に”否定しているからです。(笑)
 
一言でまとめるならば、
「その字に見えれば、許していい」と書いているのです!
 
・一画が長くても短くても
・はなれていてもくっついていても
・大きくても小さくても
・交わっていても交わっていなくても
・もちろん、とめ・はね・はらいがその通りでなくても
 
「そんなに厳しく採点しなくてもいいんじゃない?」
という、ゆる~い感じの漢字でもOKを出すことのススメです。
 
ただし、その字に見えないことがある場合は、
きちんと書きましょうとは言っています。
例えば、未と末は、長さに気を付けなければなりません。
田申甲も突き出るか出ないかで違う字になってしまいます。
他にもいくつかあるでしょうが、
それほど多くはないでしょう。
 
ここで核心に戻します。
文化庁の報告のようにゆるい採点をすべきか。
(今まで通り)厳しく採点すべきか。
 
これは、主観でしかありませんが、
厳しく採点すべきだと個人的には思います。
 
日本語を母国語とする子には、
ぜひ、『とめ・はね・はらい』だけでなく、
一画の長さ、くっつきや突き出し、
当然ですが、書き順も含めて、
学校で学習する『お手本』の通りに書けるように、
意識を高く持って取り組んでほしいです。
 
我々が基準としている常用漢字の字形や書き順は、
その漢字を書くのに最適な書き方を示しています。
なぜ、はねたりはらったりするのかと言えば、
次の画が書きやすい筆運びになっているからです。
書き順があるのは、次の画に筆を置きやすいからです。
 
このこだわりを次の世代にしっかりと伝える責任が私たちにはあります。
 
許容範囲を広くしてしまうことは、
漢字の伝承を放棄することを意味します。
そして、数世代先に待つものは…
『漢字なんか我々の言語に必要ない。』という考えになるかもしれません。
 
 
漢字テストで、
「○か×か△か?」と言われれば・・・
 
もしも補習校や塾で漢字を学習しているのであれば、
その担当の先生にぜひお任せください。
採点が甘い先生もいますし、厳しい先生もいます。
採点基準を設けていない場合もあるでしょうから、
親がそのことに毎年右往左往しては、子どもたちが混乱します。
現場の教師という立場から言うと、残念ながら“全員”が納得する採点基準は作れません。
では、国やそれに準ずる教育機関が作ればいいではないかと思うのですが、
上に挙げた文化庁の報告書は、「国はそれをしません」と言っているようなものです。
 
幸いなことに、海外に住んでいる子は、ご家庭での漢字教育が可能です。
これは、ぶれない基準でご家庭にて漢字指導ができることを意味します。
小学校六年間。
先生が何と言おうが、ぜひ同じ基準でみてあげてください。
その基準は、国語の教科書に載っている字体・書き順です。
 
よく見ると、教科書の字はよく考えられていることが分かると思います。
例えば、『言べん』。
「明朝体」や「ゴシック体」は1画目が横なのに対して、
「楷書体」は、縦です。
そして、「教科書体」は、ななめの点を打ちます。
明朝体と楷書体のちょうど中間と言うことができます。
 
海外に住んでいる子は、フォントの違いによって漢字が読めないことがあります。
(これはまた機会をみてお話ししますね。)
代表的なフォントの“中間”の役割を果たしている教科書体を覚えれば、
いろんなフォントに対応しやすくなるのは明らかでしょう。
 
「正しい字」を子どもに伝える。
 
そんな気持ちで、大人が漢字に向き合えば良いのではないかなと思っています。
 
最後に一言だけ加えておきます。
海外に住んでいる子の中で、
そのまま、現地の大学に行く子も多いでしょう。
そんな場合は、仕事に就いて日本語を使うことがあるでしょうが、
書くことよりも、読むことや打ち込むことが断然多くなるはずです。
日本で受験をしないのであれば、
字形や書き順にこだわるよりも、1つでも多くの言葉を覚えることを優先してよいと思います。
 
ただ、その子が大人になって、“漢字の伝承者”になる可能性があるのであれば、
字形や書き順にも気を付けて書いてほしいなという願いはもちろん持っています。
お子さんが小さいうちはぜひ意識してみてあげてください。
 
 

 

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