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第3回 海外では、なぜ漢字の学習が難しいのでしょうか。

8月8日
読了時間: 4分

「うちの子は、家では読めていた漢字なのに、一週間たつと忘れてしまうんです。」


これまで、海外にお住まいの保護者の方から、このようなご相談をたくさんいただいてきました。


一生懸命勉強しているのに、なかなか覚えられない。


前の週にはできていたのに、次の週には忘れてしまう。


そんな様子を見ると、保護者の方も不安になります。


「うちの子は、漢字が苦手なのかもしれない。」


そう思ってしまうこともあるでしょう。


でも、私はいつも最初にお伝えしたいことがあります。


それは、お子さんの努力が足りないわけではない、ということです。


⸻


海外で暮らす子どもたちは、平日は現地校やインターナショナルスクールで、一日中、日本語以外の言葉で勉強をしています。


慣れない言葉で先生の話を聞き、友達と会話をし、宿題にも取り組む。


それだけでも、本当によく頑張っています。


だから私は、まずその頑張りをたくさん褒めてあげたいと思っています。


その上で、日本語や漢字の勉強にも取り組んでいるのです。


これは決して当たり前のことではありません。


⸻


では、なぜ海外では漢字が難しくなるのでしょうか。


その理由は、とてもシンプルです。


漢字に出会う回数が、日本とはまったく違うからです。


日本で暮らしている子どもたちは、学校以外でも毎日たくさんの漢字を見ています。


朝、テレビを見る。


新聞や広告を見る。


スーパーで買い物をする。


駅の案内板を見る。


学校の掲示物を見る。


本を読む。


お菓子の袋にも漢字があります。


特別に勉強をしていなくても、一日の中で何度も漢字に出会っています。


つまり、日本の子どもたちは、生活そのものが「漢字の復習」になっているのです。


⸻


一方、海外ではどうでしょうか。


学校では現地の言葉。


友達との会話も現地の言葉。


街の看板も、テレビも、本も、日本語ではありません。


家庭で日本語を話していたとしても、漢字に触れる時間は、日本に比べるとどうしても少なくなります。


だから、一度覚えた漢字でも、次の週には忘れてしまうことがあります。


これは決して珍しいことではありません。


むしろ、とても自然なことなのです。


⸻


例えば、日本に住んでいる子どもたちが英語を学ぶことを考えてみてください。


学校で英語を勉強しても、毎日の生活は日本語です。


だから、英語を身につけるには時間がかかります。


環境が違うからです。


海外で暮らす子どもたちの漢字学習も、それとよく似ています。


家庭で日本語を話していても、生活の中心は現地の言葉です。


日本語や漢字に触れる時間は、日本で暮らす子どもたちとは比べものにならないほど少なくなります。


だから、漢字を覚えることが難しいのは当然なのです。


⸻


私は海外で子どもたちを教え、その後、日本の小学校でも子どもたちを教える機会をいただきました。


その両方を経験したからこそ、はっきりと言えることがあります。


海外の子どもたちは、能力が劣っているのではありません。


置かれている環境が違うだけなのです。


だからこそ、日本とまったく同じ学習方法では、うまくいかないことがあります。


海外には海外に合った学び方があります。


私は、その学び方をこれまで子どもたちや保護者の方と一緒に考え、実践してきました。


⸻


「うちの子は覚えるのが苦手だから。」


そう思う前に、ぜひ思い出してください。


お子さんは毎日、日本語以外の言葉で生活し、その上で日本語や漢字の勉強にも取り組んでいます。


それは、日本で暮らしている子どもたちにはない、大きな挑戦です。


だからこそ、焦らず、少しずつ積み重ねていけば大丈夫です。


漢字は、一日で身につくものではありません。


毎日少しずつ出会う回数を増やしていけば、必ず力になっていきます。


⸻


次回は…


「毎日5分で十分です。」


そうお話しすると、驚かれる保護者の方がたくさんいらっしゃいます。


では、その5分で何をすればよいのでしょうか。


次回は、海外での家庭学習を長く続けるためのコツについてお話ししたいと思います。

 
 

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